アマゾンが高級スーパー・ホールフーズの買収資金137億ドルに充てるため2年債から最長40年債まで7本の社債、合計160億ドルを発行しました。
Amazon社債の格付けはムーディーズでBaa1 (BBB+)です。
利率(クーポン)は2年債で1.9%、10年債で3.15%、40年債で4.25%となっています。
10年債で米国債に対するスプレッドは0.9%程度、40年債でも1.45%のスプレッドとなっており、仮条件よりかなり低いスプレッドになったようです。
つまり、かなり人気があったようです。
アマゾンは手元資金が210億ドルあり、必ずしも社債発行の必要性はありませんでしたが中長期的にみた場合、現在の米ドルの金利水準が低いレベルでありチャンスであるとの考えで発行したようです。
ジェフ・ベソスは米国の金利は上昇するとの見通しを持っているのでしょうか。
まあ普通に考えれば多くの人は長期的に金利が上がると思っているでしょが。。。
アマゾンは歴史が浅い会社で自己資本も薄く、利益水準も高いとは言えません。
しかし、存在感はある意味インフラ企業と言え、世界中の人々にとってなくてはならない企業となりました。
株式時価総額も5,000億ドルと時価総額で日本一であるトヨタの2倍以上です。
そして、今回の社債の格付けもムーディーズでBaa1 (BBB+)ということですのである程度高い信用力と言えます。(日本の格付会社ではなく、ムーディーズ・S&Pで投資適格であればかなりの信用力があると考えて問題ありません)
アマゾンで米ドル・10年・3.15%であれば、日本で募集しても相当な需要があるのではないでしょうか。
また、テスラモータースも先日、社債を発行しており、こちらは米ドル建て・8年・5.3%の条件でした。
格付けはムーディーズ、S&P共にB-と非投資適格のジャンク債による発行となりました。
それでも人気が高く当初15億ドルの発行を予定していましたが、最終的に18億ドルに増額しました。
このように様々なステージ(信用力)の企業が社債で資金調達できるところに米国資本市場の凄さを感じます。
日本では非投資適格での発行は基本的に行われません。
ただし、厳密にいうとJCRとR&IのBBBはムーディーズとS&Pの基準では多くがジャンク級(BB以下)となります。
よって、日本人は本質的にはジャンク債のリスクをとっていることになりますが、そのリスクに応じたスプレッドは取れていないと思われます。
銀行貸出を含む日本のクレジット市場はもう少しマーケット原理が働いてほしいところです。
この部分は金融の世界で欧米に大きく負けている部分だと感じます。
- 日本の格付と海外の格付の違いについてはこちらを参照:フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド/米国ハイイールド債の投資環境