今回は「法人に対する営業」に関連したクイズです。
法人顧客へのアプローチは個人とはかなり異なります。
ただし、スペシャリストがそれほどいないのでノウハウさえ吸収すれば非常にチャンスがあります。
3問中最低2問正解できればまずまずといえます。
いずれも実際の営業に役立つ内容ばかりですので分からない点は復習しておきましょう。
①法人が日本株に投資する投信やETFを保有する場合、受取配当金の益金不算入は使えるか?
解答:日本株に投資する投信は対象外、日本株に投資するETFは20%益金不算入
「受取配当金の益金不算入制度」は法人が保有している日本株式から配当金を受け取る場合、保有比率に応じて一定割合が益金不算入になる制度です。
株式の配当金は法人税が控除された後の剰余金から支払われるものであり、受取時も課税することは2重課税になることから設けられている制度です。
法人が日本の個別銘柄を保有している場合、発行済株式の1/3超の保有比率であれば配当金は100%益金不算入、5%超1/3以下であれば50%益金不算入、5%以下であれば20%益金不算入となります。
今回の質問は個別銘柄でなく投信やETFで日本株に投資した場合のケースです。
2015年3月までは投信も益金不算入の対象でしたが、2015年4月以降は対象外となりました。
ETFは引き続き対象となっていますが、益金不算入の割合が50%から20%に変更となっています。
- 受取配当金の益金不算入のについての分かりやすい説明はこちらをご覧ください:受取配当等の益金不算入制度(概要・変更点) - ファイナンシャルスター
②法人が株式投信を保有する場合、B/S上どの勘定科目に掲載するか
解答:「固定資産」の「投資有価証券」の「その他有価証券」に掲載
ここではMMFなどキャッシュ系のファンドではなく、一般的な追加型株式投資信託をイメージしています。
仮に投信を1億円購入した場合、一般的な会計処理としては「固定資産」の「投資有価証券」の「その他有価証券」に記載され、決算期に洗い替えを行います。
例えば時価が20%値上がりした場合、「その他有価証券」の金額は1.2億円になります。
ただし、P/L(損益計算書)には反映させず、B/S(貸借対照表)の資本の部を増減させるだけとなります。
売却した場合にはP/L(損益計算書)に損益を反映させます。
- 法人が投信を保有した場合の会計処理についての詳しい内容はこちらをご覧ください:法人が購入した投資信託は貸借対照表(B/S)上、どの勘定科目に掲載するか - ファイナンシャルスター
③同じポートフォリオ構成のファンドラップ(ラップ契約)とラップ型投信(公募投信)、法人に提案する場合どちらが良いか?
解答:ラップ型投信(公募投信)
ここではファンドラップとラップ型投信のコストなどは同一で、仕組みのみが違うことを前提としています。
ではなぜラップ型投信(公募投信)のほうが良いかというとそれは会計処理の都合上です。
ファンドラップ(ラップ契約)の場合、複数の投信をばらばらに購入している形となるため、アロケーションの変更やリバランスを行った場合、会計処理と損益が発生します。
会計処理の頻度が高く事務負担も増えるため、一般的に好まれません。
また、決算期直前などに急に意図せざる損益が発生する可能性もあります。
一方、ラップ型投信(公募投信)であれば投信の中での売買となるため、ラップ型投信(公募投信)自体を解約するまで会計処理や損益は発生しません。
よって、法人に提案する際、ポートフォリオ構成やコストがそれ程変わらない場合は、ラップ型投信(公募投信)をお勧めする方がベターと考えられます。
- ラップやラップ型投信についてはこちらを参照してください:ラップ・ファンドラップ・ラップ型投信・バランスファンドについて - ファイナンシャルスター