今のマーケットは多くの資産クラスが上昇し、ボラティリティが低下している中、潜在的なリスク要因も多いため、新規で投資をするにはかなり難しい環境と言えます。
米国株は右肩上がりの上昇を続けており、S&P500のPERは18倍前後とそれ程割高ではありませんが、ナスダック総合指数のPERは24倍とかなり高い水準です。
日本株はTOPIXのPERが14倍台と割安ですが、円高リスクも嫌気されてなかなか上昇気流に乗れません。
結局、日本株の場合は米国株がある程度上昇しないと大きくは上昇しないと思われるため、米国株が上がってもわないと日本人も儲かりません。
米国経済は失業率や住宅関連は順調ですが、自動車販売が低下傾向であることと、百貨店・ショッピングモールの販売が大きく落ち込んでいることが懸念材料です。
また、期待されていたトランプ政権も政策の実現性の上で不安が増しています。
そして、米国株を考える上ではグローバル経済をチェックする必要がありますが、足元、中国経済に嫌な雰囲気が出てきています。
中国では自動車とスマホの販売が低迷しており、さらに常に警戒される不動産のリスクも潜在的に残っています。
このようにマーケットが割安でない環境の中で、リスク要因が多く存在することから、これから投資を行うには非常に難しい局面となっています。
このような時、投資家の目線では無理に投資せずに待機すれば良いのですが、金融機関の営業職員の立場で考えると商売上困ることになります。
だからと言って本当に良いと思っていないにもかかわらず、思い込みで会社から言われた商品を提案するのもいかがなものかと思います。
そこで無理に提案して損をした場合、顧客の信頼を失います。
本当に良いと思って提案して損をした場合と無理に提案して損をした場合とでは顧客が感じる印象が大きく異なります。
これは営業担当者は分からないと思うかもしれませんが、顧客は分かるものですので注意が必要です。
前置きが長くなりましたが、このような不確実性が高い局面では「円ヘッジ付きの債券型投信」で一旦プールすることを目指しましょう。
円ヘッジ付きの債券型の投信の場合、予想以上に大きな金額で約定するケースも多いので一度やってみてください。
株式やREITの投信を3000万円買うようなお客様が、円ヘッジ付きの債券型投信であれば1億円や3億円といったケースも良くあります。
一般的に債券型の投資は販売手数料が低いことが多いですが約定金額が大きくなるので通常よりも手数料を上げることも可能です。
また、何件も約定して数十億円となると信託報酬による手数料収入もバカになりません。
通常の投信であれば信託報酬の販売会社取り分は60銭程度ですので、円ヘッジの債券型投資でも20億円集めれば、今後毎月100万円の信託報酬が計上されます。
そして具体的な商品ですが、現在は世界的に金利が上がりそうな局面ですので、金利上昇に強い債券の商品である必要があります。
下記に商品例を掲載します。
バンクローン(円ヘッジ)
- ハイイールド債券の変動金利版のようなアセットクラスであり金利上昇はプラスに寄与
- 金利上昇により円ヘッジコストが上昇しても、バンクローンの金利も上昇する
- 詳細はこちらを参照:バンクローン・オープン/バンクローンの投資環境
短期ハイイールド債(円ヘッジ)
- デュレーションが短いハイイールド債券であり、経済効果はバンクローンに近い
債券のみのアロケーション型ファンド(円ヘッジ)
- 特にPIMCOの商品が多くの販売会社で取扱いされている
- 環境に合わせて債券のアロケーションを変更していくタイプの商品
- 詳細はこちらを参照:野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド(PIMCO Income Fund)
個人的にはアロケーション型のファンドの方がクレジットの種類が分散されておりリスクが限定的な為、お勧めです。
一度、このような商品を貯めこんでおけば、次に円高になった場合や株式が下落した場合に買いに行くことができます。
そこでまたビジネスが発生します。
今のような中途半端なマーケット環境ではこのような戦略も良いのではないでしょうか。