前回に続いて投資と人間の心理に関する内容です。
日本経済新聞に非常に良い記事がありましたので紹介します。
【毎月分配を受け取りたいという心理について非常に参考になる記事】
2017/3/25日経朝刊 投資のあるある(3)目先の利益に飛びつく価値認識、「今」が一番高い
以下に記事の抜粋を掲載します。
運用の要諦は複利効果。もうけが投資元本に加わり、新たな「元本」となり雪だるま式に膨らむ状況だ。
それを知りつつ「今欲しい」心理を行動経済学は「双曲割引」と呼ぶ。価値を縦軸、時間を横軸にとり価値認識の変化をグラフにすると、「今」が一番高く、離れるや一気に価値が減じ、後はなだらかに双曲線を描いて下落する。
人気の毎月分配型の投資信託はそんな投資家心をくすぐる。「毎月現金が入るのがいい」と東京都の山本陽子さん(78)。だが、その原資は運用益だけでなく元本の払い戻しも含む。
フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)の例でみてみよう。設定時の2003年末に100万円を投じ、仮に分配金をもらわず運用していれば時価は300万円弱に膨れる計算。だが、実際は累計約120万円の分配金を毎月もらったので今の元本は約45万円に減る。合計でも165万円だ。
複利運用vs毎月分配は投資家ニーズによる
毎月分配型投信はタコ配ファンドなどと悪く言われることが多いですが、これは顧客ニーズによります。
投資家の中には年金のような形で受け取りたいという高齢者もおり、このような方には毎月分配型投信はニーズに合っているともいえます。
少なくとも、必ずしも悪いとは言えません。
逆に若い方で本来は分配金を受け取る必要はないが、なんとなく分配金を受け取るとうれしいからといった理由で購入している方は、分配を受け取らず複利運用を行っていく方が経済合理性を考えるとベターとなります。
分配型投信はここ数年ブームとなっていますが、後者のような投資家もそれなりにいるのではないでしょうか。
顧客は「何となく嬉しいから」、営業マンも「買ってくれるならどちらでもいいや」といった感じだと思います。
これではレベルが低すぎるので、金融機関の職員はアドバイザーとして複利運用の効果を顧客にしっかりとお伝えすべきです。
「複利の力」は本当に凄いので活用しない手はありません。
10年単位でみるとお金の増え方が大きく異なります。
一方で分配型投信をすべて否定するのもおかしいと思います。
分配金を受け取りたいニーズは確実に存在します。
おこずかいが欲しい高齢者に数十年後の複利効果を語っても意味がありません。
しっかり投資家のニーズを見極めて活用していきましょう。
分配型投信についての詳しい内容は下記を参照してください。