クレディアグリコル劣後債のファーストコールスキップは経済合理性から妥当
2017/3/22日経新聞朝刊21面に、クレディアグリコルが永久劣後債の期限前償還を見送り、関連投信にも影響がでているという記事が掲載されています。
2016年にもスタンダードチャータード銀行が今回と同様に同様に永久劣後債の期限前償還をスキップして、投信に大きな影響がでました。
永久劣後債はファーストコールで償還されるのが慣例となっていますが、経済合理性からみて、償還する事があまりにも不利になる場合は償還を見送ることは当たり前と言えます。
発行体の側から考えると、経済合理性に大きく逆らった行動をすると自社の株主から訴えられる可能性もでてきます。
クレディアグリコルとスタンダードチャータード銀行の永久劣後債は共にリーマンショック前に発行されており、当初10年は固定金利で6%以上、10年以降は変動金利でlibor+1〜2%の条件です。
マーケット環境の良い時に発行されていますので、10年以降のスプレッドも抑えめの水準です。また、ベース金利(国債利回り・LIBORなど)は現在よりも高い水準でした。
これであればファーストコールで償還されない可能性も相応にあると言わざるを得ません。
劣後債も株式等と同じで割高な時(スプレッドが小さい時)に投資をするとリスクがあるということです。
今回のクレディアグリコルの場合は一旦、償還を見送った後、下落した永久劣後債をマーケット価格で買い入れると発表していることからも、償還見送りは資金繰りなどの問題ではなく、株主に対する責任を果たしたということでしょう。(あくまで経済合理性による判断です)
クレディアグリコルの永久劣後債は、昨年のスタンダードチャータード銀行の時程、大きく下落はしていないようですが、投信のファンドマネージャーはもう少し注意を払うべきであったと思います。
他にも投資できる劣後債はたくさんあるわけですし、普通に分析をしていれば、ファーストコールがスキップされる可能性が高いことは分かったはずです。
これではさすがに投資家も怒るでしょう。
今後も経済合理性による判断での、劣後債ファーストコールのスキップは行われると思いますので、しっかり運用してほしいと思います。
劣後債の関連ページ
スタンダードチャータード銀行の永久劣後債、期限前償還見送りについては、下記に詳細な説明がありますので参考にしてください。
CoCo債についての詳しい解説はこちらを参照してください。