サウジアラムコの上場先は普通に考えるとニューヨーク、ロンドン、香港のいずれかになると思われます。
しかし、報道によるとニューヨークが難しくなってきた為、東証も候補に上がってきたそうです。
サウジアラムコが東証に上場して何かプラスになることはあるでしょうか?
サウジアラムコはサウジアラビア王国の国営石油会社で原油埋蔵量、生産量は断トツで世界一です。
予想される時価総額は円ベースで200兆円以上と言われています。
現時点で時価総額が世界No1はアップルで80兆円前後です。
日本一はトヨタの20兆円前後です。
とんでもない大企業が上場することになります。
世界の時価総額ランキングでも圧倒的な1位です。
サウジアラビアの財政状況は原油価格の大幅下落を受け2015年は11.5兆円の赤字、2016年は10.2兆円の赤字となりました。
2017年は原油価格の回復もあり財政赤字は減少しますが、予算ベースで6.2兆円の赤字予想です。
対外純資産は過去2年で減少しましたが、今のところ50〜60兆円とそれなりの水準はあります。
2004年頃から原油価格が上昇した事で、サウジアラビアは財政支出の予算を増加させてきました。
しかし、シェールオイルの台頭もあり、今後、原油価格が低位安定する可能性もあります。
今回、サウジアラムコのIPOで発行済株式数の5%程度の売出しとされていますので約10兆円の調達ということになります。
この資金で構造改革を行い石油関連以外の収入を増やしたいとのことです。
個人的にはわざわざ上場する必要まではないような気がしますが、原油価格が長期低迷するリスクまで考えた上で、調達手段を多様化したいということでしょうか。
話しがそれましたが、では上場するならどこの市場が妥当がということになりますが、普通に考えると原油価格はドルベースの取引ですので、サウジアラムコの上場市場もドルベースの市場が良いでしょう。
そうしないと株価の予想をする上で為替変動まで考える必要性が発生し、間違いなく面倒なことになります。
よって、投資家目線で考えればニューヨーク市場が妥当です。
流動性や投資家の幅を考えてもニューヨークが良いでしょう。
東証に上場させて東証全体の時価総額が600兆円→800兆円に増えたと言われても、投資家は誰も喜びません。
よく東証の時価総額が増えたという新聞報道を目にしますが、日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命などのIPOでかさ上げされている面があります。
一方、超小型株のIPOは高水準で推移しており、日本の上場企業数は米国を超える水準まで増加しています。
これでは体裁を取り繕っているだけで、本質的には成長していません。
それであれはアジアのベンチャー起業などの誘致に力を入れた方が投資家のメリットになり、日本の株式市場の発展につながると思います。