今回は富裕層営業に関連する税金・節税関連のクイズです。
少し難しいかもしれません。
3問中最低2問正解できればまずまずといえます。
いずれも実際の営業に役立つ内容ばかりですので分からない点は復習しておきましょう。
①株特外しを行う際、投信、ETF、J-REITはそれぞれ「株式等」に含まれるか含まれないか?
解答:投信とETFは含まれない、J-REITは含まれる
株特外しは企業オーナー向けの相続税対策で良く活用されます。
資産管理会社などで総資産の50%以上を株式が占めていると「株式保有特定会社」に認定され、相続税評価額を計算する際に純資産価格方式で計算されることになります。
純資産価格方式で評価されると自社株の評価が高くなることから、類似業種比準方式で評価されるよう総資産に占める株式の比率を50%未満にします。
これを「株特外し」と呼んでいます。
保有株式を売却すればもちろん簡単に50%未満にすることは可能ですが、一般的にオーナー家などの株であるため売れない事情も多々あります。
そこで、借り入れをして株式以外の資産を購入する必要があります。
その時、株式と同様に評価される(株式等に含まれる)資産を購入しては意味がありませんので注意が必要です。
今回の問題の場合、投信とETFは株式等に含まれないので問題ありませんが、J-REITは株式と同様の評価となり、意味がなくなるので注意が必要です。
- 株特外しについての詳しい内容はこちらをご覧ください:株特はずしを行う際に投資信託は活用できるか? - ファイナンシャルスター
②発行済株式数の4%を保有する大株主が受取る配当金は申告分離課税(20.315%)か総合課税か?
解答:総合課税
通常、株式の配当金に対する課税は申告分離課税で税率は20315%です。
ただし、大口株主は例外となっており総合課税となります。
ここでの大口株主とは現在は発行済株式の3%以上を保有する株主のことを言います。
2011年9月30日までは発行済株式の5%以上を保有する株主が対象でした。
よって、上記問題の発行済株式数の4%を保有する大株主が配当金を受け取る場合は総合課税となります。
総合課税は所得水準が高いと税率も高くなるため、富裕層向けの提案として3%をわずかに上回っている投資家の株式を一部売却して3%未満にするものがあります。
- 3%未満にした場合の配当金の税効果はこちらをご覧ください:富裕層にのみ関連する税金について - ファイナンシャルスター
③不動産向け投資事業有限責任組合や匿名組合に個人で投資した場合の課税はどうなるか?
解答:総合課税
日本株のベンチャーキャピタルファンドのように、例外として20.315%の申告分離課税となるケースもありますが、それ以外のケースは基本的に総合課税となります。
総合課税になると所得税・住民税合計で最高55%という高い税率になります。
よって、通常、不動産向けファンドなど、分離課税にならないタイプの投資事業有限責任組合や匿名組合の場合、個人名義で契約することはほとんどありません。
通常は個人の資金でも資産管理会社名義のようにあくまで法人名義での契約となります。
- 個人が私募投信、投資事業有限責任組合、匿名組合に投資した場合の課税についてはこちらをご覧ください:個人が私募株式投資信託に投資した場合の課税 - ファイナンシャルスター