今回は為替に関連したクイズです。
米ドルをはじめ主要通貨に関連する知識は金融マンとしては最低限必要です。
3問中最低2問正解できればまずまずといえます。
いずれも実際の営業に役立つ内容ばかりですので分からない点は復習しておきましよう。
①米ドル建て10年債に投資、「利回り5%、1ドル= 120円」「利回り2.5%、1ドル= 100円」、損益分岐点で比較した場合どちらが有利な条件か?(利回りは単利ベースで計算)
解答:どちらも同じ条件
「利回り5%、1ドル= 120円」の場合、10年後にドルベースで50%増加します。
よって、10年後の損益分岐点は120/1.5=80円となります。
同様に「利回り2.5%、1ドル=100円」の場合は10年後にドルベースで25%増加します。
よって、10年後の損益分岐点は100/1.25=80円となり、上記と同じ損益分岐点レートとなります。
- 円高抵抗力についてはこちら:円高抵抗力で円高リスクを軽減 米ドル10年債 「利回り5%・1ドル=120円」と「利回り2.5%・1ドル=100円」はどちらが円高に強いか【外債提案手法】 - ファイナンシャルスター
②日本のインフレ率が米国より低い場合、ドル円為替レートの購買力平価は円高シフト or 円安シフト?
解答:円高方向にシフト
実際にこれまでも日本のインフレ率は相対的に米国よりも低く推移していたことからドル円の購買力平価は長期的に円高方向にシフトしてきました。
購買力平価は「一物一価の法則」をもとに算出されます。
1ドル=110円の時に米国のインフレ率が5%、日本のインフレ率が0%であった場合、100ドルのものは1年後105ドル、11,000円のものはそのまま11,000円です。
これが同じ価格になるには為替レートが1ドル=104.76円(11,000/105)になる必要があります。
つまり、購買力平価は相対的にインフレ率が高い通貨が安くなり、インフレ率が低い通貨が高くなるように動きます。
日銀がインフレ目標2%を掲げたのは購買力平価の円高シフトを防止させることが理由の1つとされます。
- 購買力平価についての分かりやすい説明はこちらをご覧ください:為替レートの予想・分析は実質金利差・購買力平価を活用 - ファイナンシャルスター
- 日銀のインフレ目標2%と購買力平価の関係についてはこちらを参照してください:日銀はなぜ2%のインフレを目標とするのか?理由は円高トレンド是正と財政再建 - ファイナンシャルスター
③ブラジルレアル債券に投資する投信を2008年8月に購入(1レアル=68円前後の頃)、2017年6月末まで保有した場合のトータルリターンを下記から選択せよ。ちなみに2017年6月末は1レアル=34円前後
①-50%②-25%③+25%
解答:③+25%
1レアル=68円が1レアル=34円まで円高レアル安となっている為、通貨のみを見た場合-50%となります。
しかし、ブラジルレアルは高金利通貨であり、2008年8月~2017年6月までの約9年で金利収入が複利計算で150%近くあったことで、トータルリターンは約25%のプラスとなりました。
参考として2008年7月17日に設定されたUBSブラジルレアル債券投信の月次レポートを見ると2017年6月末時点で設定来騰落率は25.24%となっています。
ちなみに2008年7月17日のブラジルレアルの為替レートは1レアル=68円前後です。
- ブラジルレアルについての様々な切り口はこちらを参照してください:ブラジルボンドオープン / ブラジルレアルの投資環境・最新の見通し