そろそろ新興国株の時代が来るかもしれません。(そんなことを言っている人はほとんどいませんが)
米国株と新興国株を比較すると過去数年間は米国株が圧倒的に良いパフォーマンスとなっていることは誰もが実感していると思います。
しかし、少し遡って2003年12月末からの比較ではほぼ同じパフォーマンスとなっています。
米国株・新興国株の配当込み指数の比較です。
※2003年12月末を1000として指数化
米国株・新興国株とも約15.5年間で3.64倍となりました。
年率換算では約8.5%のリターンですので、ともにまずまずのパフォーマンスです。
(ただし、大きく上昇しているように見えますが、年率8.5%の上昇ですのでそれほど上がりすぎているわけでもありません)
米国株と新興国株は約15.5年間ではほぼ同じパフォーマンスですが、途中経過は大きく異なります。
まず最初の7年(2003年12月~2010年12月)の比較チャートをご覧ください。
※2003年12月末を1000として指数化
2003年12月~2010年12月は新興国株の時代でした。
7年間で米国株は+30.3%に対し、新興国株は3.13倍となっています。
特に2004年~2007年頃は新興国ブームともいえる状況でBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)や VISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)といった名称が生まれたのもこの頃です。
日本からも公募投信経由で新興国株式への投資が人気化しました。
一方、米国株が意外と儲かっていないことには少し驚きです。
たしかにこの時期は日本でも米国株はあまり話題になっていませんでした。
まさに2003年~2010年は新興国株の時代でした。
では次に後半の8.5年(2010年12月~2019年6月)の比較チャートをご覧ください。
※2010年12月末を1000として指数化
2010年12月~2019年6月はそれまでとは反対に米国株の時代となりました。
8.5年間で米国株の2.8倍に対し、新興国株は僅か+16.2%となりました。
米国株はGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)をはじめとして大きく上昇した銘柄が目立ちました。
アップル・アマゾン・マイクロソフトなどは時価総額1兆ドルを経験しています。
一方、新興国株は配当を除くとマイナスリターンです。
これを見ると、もともと新興国株は大きく上がり過ぎていたのかもしれませんが、さすがに調整は十分と言えそうです。
この8.5年でどの新興国も経済規模(名目GDP)は大きく拡大しています。
それにもかかわらず、株式は配当を除く指数でマイナスです。
1年後か2年後か3年後か、どこで状況が変化するか分かりませんが、新興国をじっくり仕込むのも悪くなさそうです。
新規で購入していくのも悪くないと思いますし、既に米国株に投資をして含み益がある方は「米国株利食い ⇒ 新興国株買い」を少しずつ進めても良さそうです。
米国株で大きく利益が出ている人は利益分だけでも新興国株にシフトして見てはいかがですか?
万が一、マーケットがクラッシュしてもその方が分散が効き、リスクヘッジになりそうです。
新興国株は個別銘柄や国別のインデックス(指数)を購入することもできますが、当たり外れが大きいので、上記のチャートでも使用しているMSCIエマージングに投資をすることをお勧めします。(ETFや投信などで投資可能です)
そして、マーケット環境に影響されず、手堅く利益を上げるには「新興国株買い+先進国株売り」のロングショート(マーケットニュートラル)戦略という投資手法もあります。
いずれにしてもまたどこか近い将来に新興国株の時代が来るように感じませんか?
- 新興国株式市場のPERとPBRの推移はこちらを参照してください:先進国株式と新興国株式の予想PER・実績PBR推移 - ファイナンシャルスター