2017年6月13日、14日のFOMCでFFレートの利上げが確実視されています。
FFレートの上限は現在1.0%ですが1.25%に引き上げられることになります。
リーマンショック後、FFレートは長期に渡り上限0.25%とされてきましたが、2015年12月、2016年12月、2017年3月にそれぞれ0.25%ずつ利上げが行われ、現在の1.0%となりました。
ちなみに前回の利上げ局面は2004年6月~2006年6月でこの時はFFレートが1.0%から5.25%まで引き上げられました。
前回、1.0%から1.25%に利上げしたのは2004年6月ですが、この直前の2004年5月31日の米国債イールドカーブと現在の米国債イールドカーブを比較すると大きく異なることが分かります。
1年物の金利は2004年5月も現在もそれほど変わらずほぼ1%前後です。
それが2年国債になると、2004年5月は2.5%ですが、現在は1.3%前後です。
さらに10年国債では2004年5月は4.6%ですが、現在は2.2%しかありません。
現在の10年国債利回りは2004年5月の5年債利回りよりも低い水準です。
通常、利上げ局面の初期段階はマクロ面では景気が回復しているはずですので、FRBの利上げに先んじてマーケット金利である長期金利が上昇するはずですが、今回はそれほど上昇していません。
確かに今回もトランプ大統領就任後、10年国債利回りは一時的に2.6%程度まで上昇しましたが、再度低下し2.2%前後で推移しています。
足元では6月の利上げが確実視されている状況でも全く上昇する気配がありません。
個人的にはFFレートが1.25%であれば10年国債は3%前後はあってもおかしくないと思うのですが。。。。。
つまり債券市場では米国のマクロ景気はそれほど強いものにならないと見ていることになります。
現在のように短期金利が上昇することによりイールドカーブがフラット化することを「ベア・フラットニング」と言います。
一般的には景気回復局面の最終段階に起こることが多く、「景気過熱 + 金融引き締め」時の現象です。
イールドカーブから読み取れる景気サイクル的には景気回復の最終局面を表しています。
たしかにリーマンショック後の景気回復局面は既に9年目に突入しています。
金利水準は低いですが株価やリートは大幅に高値を更新しています。
そういう意味では債券市場の方が冷静なのかもしれません。
もちろん、今後、トランプ政権が推進力を取戻し、財政政策(インフラ投資)などが進展すれば、マクロ景気も良くなり、長期金利も上昇する可能性はあります。
逆に、財政政策が進まず、米国債のイールドカーブがさらにフラット化し、逆イールドになった場合などは注意が必要です。
過去、逆イールドになった時はその後、大きくマーケットが悪化しています。
イールドカーブについての詳しい説明や逆イールドの事例(日米)こちらを参照してください!