債券・金利

まさかの米国長期金利低下 / ヘッジ付き外債を外すタイミングでは?

投稿日:2017年5月2日 更新日:

米ドル10年債利回りが2.2%前後まで低下してきました。

トランプ大統領就後、長期金利は大きく上昇し1%台後半から2.6%まで一気に上昇しましたが足元は低下傾向となっています。

積極的な財政政策によるインフラ投資が将来のインフレ期待を高めることと、国債の発行増による債券市場の需給悪化が金利上昇要因とされてきましたが、トランプ政権の政策の実現が遅れていることで金利が低下しています。

ただし、FRBは緩やかながら利上げを継続しており、FF金利は1%まで上昇しています。

2016年に10年国債利回りは1.4%まで低下しましたが、この時のFF金利は0.5%です。

現在の短期金利の水準は以前より高くなっていることから、10年国債利回りがここから大きく低下することは考えにくい状況です。

少し前に地方銀行のヘッジ付き外債投資が問題になっていました。

これは地銀に限らず一般投資家でもかなり投資している方がいると考えられます。

為替リスクなしで利ザヤを稼ごうと思っていたら、長期金利上昇で債券価格が下落し、

更に短期金利上昇でヘッジコストが上昇したことから利ザヤがなくなるダブルパンチに見舞われていました。

それでも足元の金利低下でかなり救われてきたのではないでしょうか?

ただし、上記の通りここからの金利低下は見込みにくいので、一度ポジションを解消する良いタイミングではないでしょうか?

もちろん、米国景気がここから低迷して長期金利が低下し、FRBも再び利下げしていくような経済環境を想定するのであれば長期債を保有することは理にかなっています。

このような見通しの方は少数派だと思いますので、引き続きFRBが利上げをしていくような経済環境を想定するのであれば、ヘッジ付き外債は一度ポジションを解消しても良いのではないでしょうか?

また、FRBが利上げを継続し、長期金利はそれ程上昇しないパターンも想定されます。

いわゆる、イールドカーブのフラット化です。

イールドカーブがフラット化すると、ヘッジ付き外債は厳しい状況になります。

外債の利回りとヘッジコストが同水準となり利回りがなくなります。

また、投信経由で投資している場合は、信託報酬がかかりますので、コスト控除後の利回りがマイナスになります。(一般投資家はほぼ投信経由と思われます)

こうなると厳しいので注意しましょう。

ちなみに、ハイイールド債やCoCo債などクレジットリスクも同時にとっている場合はこの限りではありません。

注意すべきは高格付け債のヘッジ付き投資です。

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