富裕層ではない一般的な日本人が豊かな老後生活を送りたい場合、投資をせずに預貯金だけで必要資金を準備することはほぼ不可能です。
仮に30年間、ゼロ金利で2000万円を貯めようとした場合、毎月5.5万円を積み立てる必要があります。
この金額を拠出できる方は問題ありませんが、実際に拠出できる人はそれほど多くないのではないでしょうか。
よって、多くの日本人は確定拠出型年金(iDeCo)や投信などで国際分散投資によるポートフォリオ運用が必要となります。
特に20代~40代前半までであれば、老後まで時間があるためドルコスト平均法による国際分散投資を行うことで、預貯金と比べて大きく資産を増やすことが可能です。
ただし、運用にはリスクもあります。
リタイア直前までリスクが高いポートフォリオで運用していた場合、マーケットが大きく下落してしまうと老後資金が予定よりも減ってしまう可能性がでてきます。
そのため、ラスト10年くらいは保守的なポートフォリオで運用するような余裕のあるスケジュールを立てておくことが成功の秘訣です。
そして、運用期間中はマーケットが割高になったり、割安になったり、様々な状況が発生します。
ドルコスト平均法を開始したばかりで運用資産が少ない時は特に気にする必要がありませんが、残高が増えてきたときや、もともとある程度まとまった資金で運用している場合はマーケットの状況に合わせてポートフォリオのアロケーションを変更をしていくべきです。
ただし、マーケットに合わせてポートフォリオを変更するといっても、実はそれが最も難しいことでもあります。
よって、ポートフォリオのアロケーションを変更する場合に何か参考にする定量的な判断基準をあらかじめ決めておくことをお勧めします。
その「定量的な判断基準」で最もお勧めなのがこちらです。
- 「世界の時価総額合計 / 世界の名目GDP合計」比率
世界の時価総額合計と名目GDPは長期的にはある程度パラレルに推移するといわれています。
世界の時価総額合計が名目GDPに対して大きくなりすぎた場合はポートフォリオの株式比率を低下させ、世界の時価総額合計が名目GDPに対して小さくなりすぎた場合は株式比率を上昇させます。
- 「世界の時価総額合計/世界の名目GDP合計」比率の推移はこちらを参照してください:全世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
「世界の時価総額合計/世界の名目GDP合計」比率をポートフォリオのアロケーション変更に活用する際場合、個人的には下記のような条件が良いと考えています。
「世界の時価総額合計/世界の名目GDP合計」比率に応じた「株式:債券」投資の割合
- 100%超⇒株式:債券=30:70
- 70%~100%⇒株式:債券=50:50
- 50%~70 %⇒株式:債券=70:30
- 50%未満⇒株式:債券= 100:0
「世界の時価総額合計 / 世界の名目GDP合計」比率が100%を上回ることはそれほど多く発生しません。
上記のリンク先をご覧いただくと分かりますが、直近で100%を上回っていたのは「2007年の1年間」と「2017年8月~2018年9月」と「2019年12月~現在」しかありません。
これくらいしか発生しません。
よって、このような局面では株式の比率をある程度引き下げる方がよいでしょう。
また、110%以上の水準はより発生するハードルが上がるので、110%以上になった場合は株式:債券=20:80に変更し、120%以上になった場合は株式:債券=0:100といった形で調整するとよいでしょう。
逆に「世界の時価総額合計 / 世界の名目GDP合計」比率が50%を下回ることもほとんど発生しません。
50%を下回ったのはリーマンショック後の2009年の一時期のみです。
よって、このような局面では債券比率をゼロにして株式100%にしても良いと思います。
そして、そこまで極端ではなくても、70%~100%の時は株式:債券=50:50にシフト、50%~70%の時は株式:債券=70:30にシフトすると良いと思います。
世の中では国際分散投資だから全く結果を見ないでも良いという説もありますが、それでは金融リテラシーも向上しないので、上記のようなアロケーション変更くらいは行った方が良いと思います。
多少はマーケットに触れた方が環境も理解できて知識も増えます。
もちろん、上記のようなアロケーション変更を行うには複数のファンドを選択して運用する必要があります。
「どのファンドを選んで良いかわからない」という方は、株式:債券=50:50で運用する低コストファンド「セソン・バンガード・グローバルバランスファンド」のようなファンドをベースに運用することをお勧めします。
例えば、セソン投信では「セソン・バンガード・グローバルバランスファンド」に加えて、株式が100%の「セソン資産形成の達人ファンド」という投信があります。
このファンドとキャッシュを追加で活用することで、運用資産全体の「株式:債券」比率をコントロールできます。
また、確定拠出型年金(iDeCo)でも株式・債券のバランスファンドを用意しているケースが多いので、そちらをベースにして、株式100%のファンドと債券100%のファンドを加えることでトータルの「株式:債券」比率をコントロールできます。
「世界の時価総額合計 / 世界の名目GDP合計」比率の最新のデータに関してはこちらのリンク先で更新していきます。
- 「世界の時価総額合計/世界の名目GDP合計」比率の推移:全世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
また、大きな変化があった場合は当サイトでもできる限り掲載していきますので参考にしていただければと思います。
- 年金の準備についてはこちらも参照してください:年金不足2,000万円?30年間で準備するには毎月何%?年率何%?