原油価格の代表的な指標としてWTI原油とブレント原油があります。
以前はWTIとブレントの価格はほぼ同じ価格で推移していました。
正確にはWTIがブレントより1バレル当たり1~2ドル高く推移していました。
しかし、2011年頃からWTIとブレントの逆転現象が発生すると同時に価格のかい離も大きくなりました。
2011年~2014年頃は恒常的にブレントの方が高く推移し、価格のかい離も大きい時で20ドル以上ブレントの方が高いといった現象が発生しました。
その後2015年~2016年はWTIとブレントはほぼ同じ価格で推移していましたが、2017年8月以降かい離が大きくなり、2017年11月27日時点でWTI原油価格が1バレル= 58.85ドル、ブレント原油価格が1バレル= 63.48ドルとなっています。
ちなみにWTIはウェスト・テキサス・インターミディエードの略でテキサス州西部とニューメキシコ州東部の油田で産出されオクラホマ州のクッシング(Cushing)で貯蔵される原油です。
取引量は世界シェアで1~2%と少ないですが、硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油であることから原油価格の世界的な指標として使われています。
ブレントはノルウェー・英国を中心とする北海油田で産出される原油です
WTIより品質は落ちますがこちらも高品質な原油と言われており、主に欧州で消費されます。
WTIとブレントの価格逆転現象やかい離の拡大は様々な要因が複合的に関連していると思われますが、最も影響が大きいのは米国のシェールオイルの存在です。
2011年頃、シェールオイルの生産コストは1バレル= 100ドル前後と今よりも非常に高いコストでしたが、原油価格が100ドルを超えて上昇したことでシェールオイルの開発が一気に進みました。
その影響で2011年~2014年にかけてブレントが1バレル=100ドル~120ドルで推移したのに対し、WTIは安い時で1バレル=80ドルまで下落しました。
更にこの間、技術革新によりシェールオイルの生産コストは年々低下していき、現在ではバレル=40ドル前後でも利益が出る油田も出てきています。
2014年の後半~2016年にかけては原油価格自体が大きく下落しこともあり、WTIとブレントの価格差はほとんどなくなっていましたが、現在は上記の通り拡がりはじめています。
前回と同様に原油価格が上昇するとシェールオイルの生産が拡大するためWTIの価格が抑えられるという流れです。
ただしシェールオイルの生産コスト低下により、前回より低い価格水準でWTIとブレントのかい離が起きています。
前回は1バレル=100ドル前後で起きてきたことが、今回は1バレル=60ドル前後で起きています。
これを見ると原油価格が堅調に推移しても、WTIはここから極端に大きく上昇することは難しいと感じます。