2017年6月のケースシラー住宅価格指数は全米ベースで前年同月比で5.8%の上昇、主要20都市ベースで5.7%の上昇となり、米国の不動産マーケットは引き続き堅調なようです。
ケースシラー住宅価格指数(全米ベース)はリーマンショック前の高値が2006年7月の184.62ポイントでした。
リーマンショック後の混乱で2012年2月には134ポイントまで下落し、高値から約28%の下落となりました。
その後、上昇トレンドとなり2016年12月にはりーマンショック前の高値を更新し、2017年も引き続き堅調な動きとなっています。
- ケースシラー住宅価格指数(全米ベース)の長期チャートはこちらを参照:米国リート/ケースシラー住宅価格指数/10年国債利回り長期推移(チャート・変動要因) - ファイナンシャルスター
ケースシラー住宅価格指数(全米ベース)は2000年1月を100として算出されており、2017年6月時点で192.6ポイントですので、17年で約2倍弱になった計算です。
2倍と言われるとすごく上昇しているように感じますが、これを年率複利利回りにするとちょうど年率4%となります。
ちなみに1.04の17乗=1.9479となります。
米国の不動産価格はすごく上がっているイメージを持っている人も多いようですが、年率4%と言われればそれほど上がり過ぎているわけでもないように感じるのではないでしょうか。
さらにインフレ率も考慮するとそれほど過熱感がないことが分かります。
2000年~2017年の米国のインフレ率は平均で約2%程度です。
(FRBのインフレ目標と同レベルです)
よって、米国の住宅価格は名目では年率4%で上昇してきましたが、インフレを考慮した実質ベースでは年率2%程度の上昇ということになります。
そう考えると米国の不動産価格はそれほど過熱しておらず、かなり健全な上昇といえそうです。
もちろん、不動産に投資した場合は上記の名目4%、実質2%前後のキャピタルゲインだけではなく、賃料によるインカム収入も発生します。
例えば、2010年以降の米国リートの分配金利回りは4%~5%前後です。
- 米国リートの分配金利回りの推移はこちらを参照:米国リート配当利回り・10年米国債利回り長期推移(チャート・変動要因) - ファイナンシャルスター
また、リートの場合はレバレッジがかかっています。
米国リートのLTV(Loan To Value:借入比率)は40%前後です。
そのため、不動産価格の上昇率が年率4%(名目)の場合、リートのキャピタルゲインは年率6%以上になります。
トータルでは年率10%以上のリターンになります。
米国リートも長期的に上昇していますが、NAV倍率は1倍を下回っており実物の不動産価格との対比では割安な状況です。
そして上記の通り、実物の不動産市況もそれほど割高でないことを考えれば投資対象として悪くないと考えられます。
- 米国リートについての詳しい解説はこちら:新光US-REITオープン(ゼウス)/米国リートの投資環境・最新の見通し