26年に及ぶ連続経済成長
四半期ベースの実質GDP成長率が前期比で2回連続マイナスとなると景気後退となります。
オーストラリアは1991年以降、景気後退に陥っておらず、2017年6月発表の2017年1月~3月(1Q)の実質GDPがプラスになればオランダの持つ103四半期に並ぶことになります。
今回は前期比で0.3%~0.4%のプラスが見込まれておりオランダの記録に並ぶのは確実な状況です。
オーストラリアはリーマンショックのあった2008年や2009年に多くの国がマイナス成長になる中でもプラスの経済成長を維持しており、経済の安定性には定評があります。
しかし、近年は資源価格の低迷や雇用環境の悪化などにより景気下振れリスクが懸念されています。
そのためオーストラリア準備銀行(RBA)は2011年以降、継続的に利下げを行っており政策金利は1.5%まで低下しています。
2008年には政策金利が7.25%でしたのでかなり大きな低下です。
そして今回、金融政策に加えオーストラリア準備銀行(RBA)が必要性を訴えていた財政政策(インフラ投資)が行われることになりました。
道路や鉄道の整備に今後10年間で6兆円を投入する予定です。
これにより交通網が整備され生産性が高まると同時に、建設のための雇用増加が見込まれます。
さらにインフラ投資のための資金は民間資金を積極的に活用するため財政への負担はかなり抑えられるようです。
政府はこれらの影響で実質GDP成長率(対前年比)が2016~2017年の1.75%から2017~2018年度は2.75%に回復すると見込んでいるようです。
これが実現するころにはオーストラリア準備銀行(RBA)の利上げも視野に入ってくるでしょう。
そうすれば豪ドルもある程度見直されるでしょう。
対円ではどうしてもドル円の影響を受けますので判断しにくいですが、対米ドルでは1豪ドル=0.7ドル~0.75ドル程度と感覚的には少し安い水準だと思います。
米ドルと豪ドル金利が逆転するとリスク要因
対米ドルでリスクがあるとすれば米国の利上げペースが速くなり、逆に豪ドルの利上げが進まず、豪ドルと米ドルの政策金利が逆転した場合です。
過去、ほとんどの期間で豪ドル金利は米ドル金利を上回っています。
これが逆転したのは1997年6月~2001年3月までの期間のみとなります。
この期間の対米ドルの豪ドルレートは1豪ドル=0.75ドルから1豪ドル=0.50ドルまで下落しました。
つまり豪ドルが最も下落していた期間です。
現在、米国の政策金利は1%で2017年6月に0.25%利上げがある見通しとなっています。
また2017年は3回利上げすることが現在のコンセンサスとなっています。
一方、オーストラリアの政策金利は1.5%で利下げは止まりましたが、直ぐに利上げをするような感じにはなっていません。
このままいくと豪・米の金利が逆転する可能性がでてきます。
当面の豪ドルの推移はFRBとRBAの金融政策が注目点となります。
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