GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日本株運用でESG投資を開始しました。
当初は日本株運用資産の3%である1兆円をめどに投資し、将来的にウェートを増やしていくと発表しています。
ESG投資はパフォーマンスに寄与するのでしょうか?
国民の大切な年金資産を運用するのですからパフォーマンスが良くないと困ります。
少なくともTOPIXを上回るα(アルファ)を計上してほしいものです。
今回、GPIFは3種類のESG指数を採用しました。
環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)のESG全般を考慮に入れた「総合型」の指数2つと、社会(S)のなかでも女性の活躍にフォーカスした「テーマ型」の指数が1つです。
GPIFが採用したESG投資の3指数
- 総合型①:FTSE Blossom Japan Index
- 総合型②:MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
- テーマ型:MSCI日本株女性活躍指数(WIN)
各指数の概要を見て気になるのが組入れ銘柄数が多いことです。
2017年6月時点で「FTSE Blossom Japan Index」が151銘柄、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」が251銘柄、「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」が212銘柄です。
通常これだけ分散するとおそらくですがTOPIXとほぼ同じ動きになります。
GPIFの説明資料に2012年3月~2017年3月の5年間のパフォーマンス比較が掲載されていました。(リターン・リスクは年率)
FTSE Blossom Japan Index
- リターン14.69%・リスク18.01%
MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
- リターン14.90%・リスク17.77%
MSCI日本株女性活躍指数(WIN)
- リターン14.95%・リスク16.97%
上記3指数のESGポートフォリオ全体(40%:40%:20%の投資割合)
- リターン14.83%・リスク17.62%
TOPIX
- リターン14.43%・リスク17.78%
リターンとリスク共に少しですが良いデータとなっていますが、ほとんどTOPIXと変わりません。
米国株でもESG関連のETFがありますがこれもS&P500とほぼ同様の動きとなっています。
下記はESG投資のETFとS&P500の比較チャートです。
こちらはリターンが若干下回っています。
日本株のESG投資は始まったばかりですのでどうなるかわかりませんが、これに1兆円投資して更に増額する意味はあるのかと思ってしまいます。
大切な年金ですので良い運用をお願いしたいです。