J-REITのリスク要因の1つに地震があります。
2018年6月18日の朝8時頃、大阪で震度6弱の地震が発生しました。
この日は米中の貿易戦争突入懸念もあり、株価は大きく下落しました。
日経平均が171円安、東証マザーズ指数は15ポイント安で引けました。
一方、東証リート指数はほぼ変わらずで+0.94ポイントで引けています。
当日朝のイメージとしては大きな地震が発生し、被害状況も分からないことからJ-REITは売られるかなと思っていましたが、寄り付きからほとんどの時間でプラス圏での推移となりました。
今後、余震が発生する可能性が高いにも関わらずです。
おそらく、これまでの経験で地震が発生してもJ-REITはそれほど影響を受けないとマーケットは認識しているのでしょう。
2001年にJ-REITが誕生してから大規模な地震は何度か発生しています。
特に被害が大きかった2011年3月1日の東日本大震災でも極端な損失は発生していません。
東日本大震災の影響で最も大きな損失を計上したのは、日本リテールファンドの668百万円(取得資産価格の0.11 %)と日本ロジスティクスファンドの307百万円(取得資産価格の0.18%)の特別損失でした。
共に保有資産全体からみた割合では0.1 %~0.2%とそれほど大きくありません。
ちなみに、これまでJ-REITで地震の影響を最も受けたのは、2016年の熊本地震でイオンモール熊本が被災し、大きな打撃を受けたイオンリート(3292)です。
2016年7月期に特別損失として52億円を計上し当期利益は赤字になりました。
ただし、利益超過分配や減資などの対応を行ったことで、2016年7月期の分配金は予定の約半分の1450円を支払っています。
そして、翌2017年1月期からは通常通り3,000円前後の分配金になっています。
よって、一時的にイオンリートは下落しましたが、それほど大きな打撃にはなりませんでした。
これらの経験から地震に対するリスクはそれ程ではないとの認識になっているのでしょう。
J-REITでは「地震PML(地震時予想最大損失率、Probable Maximum Loss)」でリスク管理を行っています。
J-REITの物件は通常、地震保険に加入していませんが、PML値の低い物件に投資するのが原則で、PML値の高い物件に投資する場合のみ地震保険に加入します。
- PML値についての詳細はこちら:J-REIT・リサーチ・オープン/J-REITの投資環境
J-REITはイメージ的に地震リスクが高いように感じますが、実際にはかなりリスクヘッジされていると考えて良いと思われます。