ブラジルの実質金利は高水準
米国の金利上昇の影響で新興国通貨が大きく下落しています。
もちろん、米ドル金利の上昇のみが下落の要因ではなく、それぞれの国ごとに政局不安やインフレ率の上昇など複合的な要因で下落しています。
これまでも何度か紹介していますが、新興国通貨の中でもブラジルレアルヘの投資はおすすめです。
詳しい理由は「ブラジルボンドオープン / ブラジルレアルの投資環境・最新の見通し - ファイナンシャルスター」に掲載していますが、最も重要なポイントは高い実質金利です。
実質金利とは「名目金利−インフレ率」です。
ブラジルはかつてハイパーインフレに悩まされた経験から、インフレには相当気を使っており、政策金利は常にインフレ率よりもかなり高めに設定されています。
現在のブラジルの政策金利とインフレ率は下記の通りです。(インフレ率はCPIを使用)
- ブラジル:政策金利6.5%、インフレ率2.76%
ちなみに日・米・欧は全て実質金利がマイナスです。(金利 < インフレ率)
- 日本:政策金利0.0%、インフレ率0.6%
- 米国:政策金利1.75%、インフレ率2.5%
- 欧州:政策金利0.0%、インフレ率1.9%
購買力平価の考え方ではインフレになった分だけ通貨が下落します。
しかし、金利がインフレ率より高く、実質金利がプラスということはインフレで通貨が減価した分以上に、金利収入が入ってくるということになります。
よって長期的に実質金利が高いということは理論的にトータルではプラスになるということになります。
上記の通り、ブラジルは実質金利が大きくプラスで、これはほぼすべての期間でこのようになっています。
- ブラジルの政策金利とインフレ率の推移は「金利とインフレ率推移(チャート・変動要因)【③新興国】 - ファイナンシャルスター」をご覧ください。
円/レアルは半分以下だがレアル債投信はプラス
こちらも過去に紹介したことがありますが、2008年7月17日に設定された「UBSブラジル・レアル債券投信(年2回)」と円/レアルの比較チャートです。
2008年7月17日のブラジルレアルは1レアル=68円でした。
リーマンショック前のほぼ最高値のタイミングでした。
2018年6月8日時点のブラジルレアルは1レアル=28円ですので約60%下落しています。
しかし、「UBSブラジル・レアル債券投信(年2回)」の2018年6月7日時点の基準価格は11.267円です。
この年2回決算型のファンドは一度も分配金を出していないので、設定来では単純に12.67%のプラスです。
約10年間の金利収入のおかげで本来、通貨のみの騰落率では-60%のはずが、逆に+12.67%となっています。
このように最悪のタイミングで購入しても時間を掛ければ金利の力でプラスになっています。
新興国通貨は値動きが大きく、かつ長期下落トレンドになっているものが多いので、ナンピン買いを躊躇してしまうことも多いと思います。
しかし、上記の内容を頭に入れておくと、少なくともブラジルレアルに関しては大きく下落したタイミングではナンピンを入れやすくなるのではないでしょうか。
当たり前ですが、ナンピン買いをして平均購入単価を下げておくとリバウンドした際の利益はかなり大きくなります。
ブラジル当局も為替介入を増やしたり、利上げを検討したりしているので、感覚的には1レアル=28円のレベルは買っておいても良いと感じます。